
新たな挑戦
災害時に応急復旧対応可能なユニット型汚水処理システム
B-DASHプロジェクト実証技術

実証研究者
株式会社エステム・帝人フロンティア
株式会社積水アクアシステム株式会社・株式会社日新技術コンサルタント・田原市
1.システム概要とB-DASH実証研究
・本システムは、国土交通省のB-DASHプロジェクトで災害時の応急復旧に対応可能な汚水処理技術として実証されました。
・主要構成要素はパネルタンク、特殊繊維担体、クラウド型遠方監視システムです。
パネルタンクは軽量なうえ細かな部品構成であるため,省スペースで短期間に築造・解体か可能です。
特殊繊維担体は表面積が広く微生物が付着しやすい特徴を持ち効率的な汚水処理が可能です。
クラウド型遠方監視システムにより、遠隔でのデータ取得や警報監視が可能です。
・実証研究の目的は、災害時の迅速な応急復旧と、平常時における過疎地域の人口減少対策への活用可能性を示すことでした。
・実証では、迅速な施設組立、目標水質達成の迅速さ、処理の安定性、施設撤去の容易さ、移設・転用可能性が検証され、いずれの項
目も目標を達成しました。


<図:本システムの構成>
2.標準タイプの設定と導入シナリオ
・大規模災害時の迅速な対応などを考慮し、生物反応槽の規模に応じて3つの標準タイプ(タイプⅠ~Ⅲ)が設定されています。
タイプⅢが最大規模となります。
・これらの標準タイプを組み合わせることで、様々な処理能力に対応可能です。(処理能力4,000~5,000m3/日程度までを想定
しています)
・導入シナリオとして、被災処理施設の応急復旧や分断処理区の応急復旧、仮設住宅、災害拠点病院等の暫定的汚水処理とその後の移
設・転用・備蓄、そして人口減少対策時における施設のダウンサイジングとしての導入などが考えられます。
・既設処理場、ポンプ場工事期間中の仮排水処理に使用し、その後備蓄して災害時対応、他汚水処理施設の改築更新工事等に再利用す
ることが考えられます。
・汚水処理事業健全化の際に分散型汚水処理システムとして運用が可能です。
・処理システムを構成する反応槽・沈殿槽・消毒糟について単体としての設置・運用も可能です。


※1 寸法表示:上段・反応槽 下段・沈殿槽
※2 組立日数は条件により異なる可能性があり検討が必要です
3.普及展開
・災害時における機器・機材の円滑な調達のため、平時からの資材調達先候補の選定や、都道府県等による機器・資材の備蓄が提
案されています。
※令和5年度より『下水道広域的災害対応支援事業』として個別補助金の対象となります。
・長期的には、備蓄管理の情報管理システムの構築により、全国への円滑なシステム導入を目指します。
・海外の被災国支援として導入を目指します。
・発展途上国の早期公共用水域水質保全、住環境の改善を目指します。


<図:本システムの運用例>
マンホール・管口点検の新技術
管診鏡
管診鏡を用いることにより、マンホール内部・管口から管内部を高解像度カメラと強力ライトで鮮明に撮影することができます。撮影した画像(動画)は、現場(地上)にてタブレットやノートPC等で確認し、必要箇所は静止画撮影やキャプチャー処理で画像ファイルとして保存ができます。
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マンホール内に潜入して作業を行わないことで、私たちは以下の3点を確認することができました。
①作業員の安全性
②作業の効率性
③作業記録の正確性
現在、ストックマネジメントに基づく点検調査や腐食環境下における定期的な点検調査に活用中です。
……活用現場………………………………………………………………………………………………………………………………………………
令和3年6月 岩手県奥州市「公共下水道真城が丘幹線移設設計業務」
令和3年7月 山形県上山市「公共下水道管路更生新湯ほか工区実施設計業務」
令和3年11月 福島県相馬市「相馬市公共下水道マンホール等調査業務委託」・・・他
嫌気好気ろ床法(A2F法)
A2F(Anaerobic-Aerobic-Filter)
*A2Fは当社の嫌気好気ろ床法のセールスネームです。

「嫌気・好気ろ床法」は,現在の一般的な処理法である好気性生物処理法に比べて発生汚泥量が少なく,省エネルギーで維持管理が容易といわれる嫌気性生物処理に着目して,小規模向けに開発された技術です。 当社では,終末処理場の処理方式として計画(基本・認可)及び実施設計において,本処理方式を含めた幅広い検討を行い,数多くの実績を上げています。 「嫌気・好気ろ床法」の最大の特徴は,嫌気性処理と好気性処理の組合せによりBOD及びSSの除去率がそれぞれ90%以上と安定した処理効果が期待できると共に,嫌気性ろ床槽内に高濃度保持された嫌気性徴生物の働きにより流入下水中の有機物の大半を分解・ガス化し,発生汚泥量を大幅に減量化することができる点です。
また,
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・施設及び設備の運転管理に手間がかかりません
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・曝気に要する動力が少なく省エネルギーです
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・汚泥発生量が非常に少ないので汚泥処理の管理が容易になります
・汚泥処理,処分の費用がかなり安価になります -
・総じて維持管理費が安価です
などのメリットがあると共に,OD法等の処理方式に比べて所要敷地面積が小さく済むこともメリットのひとつです。


佐賀県江北町 江北浄化センター
UAV(ドローン)を活用した現況調査
災害時の実用化,構造物調査に向けて
2015年12月10日の改正航空法施行により,ドローンを安全に使用するための基本ルールが定められました。
自治体においても,観光,防災,調査・点検などさまざまな分野において実用化に向けた実証が各地で行われています。
今回はドローンの活用のなかでも,株式会社建設新聞社および株式会社九建日報に掲載されました紙面から,災害を想定した日新技術コンサルタントの取り組みをご紹介します。


バチルス菌優占化処理
バチルス菌優占化処理とは,活性汚泥法と回転生物接触法をさらに進化させ高濃度廃水の処理等の諸問題を解決する画期的な水処理(廃水処理)システムです。
バチルス菌を活性汚泥槽内及びAT-BC装置(立体回転装置)で高濃度に優占培養することで,在来菌では処理できなかった窒素・リン等を効率良く除去し,更に悪臭までも除去できます。
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バチルス菌
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AT-BC装置(立体回転装置)
バチルス菌とは,身の回りに多く存在するごく平凡な土壌細菌で,納豆菌は代表的なバチルス菌であり,紅茶,ウーロン茶,味噌,漬物,漢方薬などに含まれています。(活性汚泥細菌の一部にも存在します。)微生物学的にはバチルス属細菌(Bacillus sp.)と呼ばれ,真正細菌の属で芽胞(胞子)を形成するのが大きな特徴です。胞子から発芽すると桿菌(細長い棒状または円筒状を示す細菌)となり,栄養などの生育条件が整えばフィラメント化して成長します。繁殖力が強いため,貧栄養状態(高pHや低温,高塩濃度,高圧といった様々な極限環境)になっても胞子化し生き続けます。
バチルス菌のライフサイクル

バチルス菌優占化処理技術の特徴と導入効果
バチルス菌を優占培養し増殖させることにより,汚泥の沈降性が向上し,固液分離が十分になされ,水処理の安定性が増します。また,汚泥処理における脱水性の改善がなされ余剰汚泥の発生量が少なくなるため,汚泥処理のコスト削減が可能です。さらにバチルス菌は,窒素や硫黄を好む細菌であるため,廃水中の窒素成分を分解する前の状態で短時間に摂取するので悪臭成分を同時に除去できます。これにより,脱臭装置が不要になります。
※ 顕微鏡写真 100倍
終末処理場で実施されてきたバチルス菌優占化処理は大きく以下の2つの方法によります。
① 補助装置なしで実現する方法:活性汚泥法に代表される生物処理施設であれば,現有施設の改造をすることなく,活性汚泥中でバチルス菌を優占種にすることで,効果が実現できます。
② 補助装置を導入して実現する方法:バチルス菌とAT-BC装置(立体回転装置)を組み合わせることにより,バチルス菌の能力を有効的に発揮させることができます。
バチルス菌優占化処理を標準的な活性汚泥法と比較すると,以下のような導入効果があります。
- ○優れた消臭効果(処理施設の無臭化が可能)
- ○優れた有機物(BOD) ・窒素・リンの除去効果
- ○省エネ・省スペースにより増設・改造のコスト低減効果
- ○余剰汚泥の大幅削減効果
- ○既存施設の処理能力向上効果
- ○ランニングコスト低減効果
標準活性汚泥法とのフロー比較
標準活性汚泥法とAT-BCシステムの処理プロセスを比較してみました。

(※)図中の数値は参考値であり,条件により異なる場合があります。
処理対象

その他,各種廃水処理に効果があります。
導入実績
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AT-BCシステム導入事例(民間施設)
処理対象 所在地 処理水量
(m2/日)酒造廃水 宮崎 10 製麺廃水 広島 300 屠場排水 福島 1,500 乳製品工場廃水 秋田 10 乳製品工場廃水 埼玉 750 畜産廃水 干葉 8 洋菓子工場廃水 千葉 70 表の例を始めとして全国に30ヶ所以上の実績があります。
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AT-BCシステム導入事例(韓国公共施設)
処理対象 所在地 処理水量
(m2/日)し尿・畜産廃水 龍仁市し尿畜産処理場 300 し尿 長城郡し尿処理場 120 集落排水 釜山市 500 処分場浸出水 ソウル市ごみ埋立地 2,000 都市下水 海雲台下水処理場 4,000 都市下水 平澤市下水処理場 45,000 表の例を始めとして韓国では15ヶ所以上の実績があります。
処理水質(民間)
AT-BCシステム導入事例(民間施設)
処理対象 | BOD | COD | SS | T-N | T-P | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|
乳製品 工場廃水 |
原水 | (mg/?) | 910 | 960 | 810 | 80 | 27 |
処理水 | (mg/?) | 5 | 18 | 10 | 5 | 5 | |
除去率 | (%) | 99.5 | 98.1 | 98.8 | 93.8 | 81.5 | |
清涼飲料水 工場廃水 |
原水 | (mg/?) | 3,290 | 2,880 | 170 | - | - |
処理水 | (mg/?) | 4 | 12 | 12 | - | - | |
除去率 | (%) | 99.9 | 99.6 | 92.9 | - | - | |
畜産廃水 | 原水 | (mg/?) | 12,740 | 10,440 | 8,920 | 2,430 | 380 |
処理水 | (mg/?) | 10 | 30 | 15 | 20 | 3 | |
除去率 | (%) | 99.9 | 99.7 | 99.8 | 99.2 | 99.2 | |
し尿 | 原水 | (mg/?) | 7,480 | 5,570 | 11,290 | 1,810 | 434 |
処理水 | (mg/?) | 6 | 18 | 38 | 12 | 4 | |
除去率 | (%) | 99.9 | 99.7 | 99.7 | 99.3 | 99.1 |
乳製品工場廃水 | |||
---|---|---|---|
原水 (mg/?) |
処理水 (mg/?) |
除去率 (%) |
|
BOD | 910 | 5 | 99.5 |
COD | 960 | 18 | 98.1 |
SS | 810 | 10 | 98.8 |
T-N | 80 | 5 | 93.8 |
T-P | 27 | 5 | 81.5 |
清涼飲料水工場廃水 | |||
---|---|---|---|
原水 (mg/?) |
処理水 (mg/?) |
除去率 (%) |
|
BOD | 3,290 | 4 | 99.9 |
COD | 2,880 | 12 | 99.6 |
SS | 170 | 12 | 92.9 |
T-N | - | - | - |
T-P | - | - | - |
畜産廃水 | |||
---|---|---|---|
原水 (mg/?) |
処理水 (mg/?) |
除去率 (%) |
|
BOD | 12,740 | 10 | 99.9 |
COD | 10,440 | 30 | 99.7 |
SS | 8,920 | 15 | 99.8 |
T-N | 2,430 | 20 | 99.2 |
T-P | 380 | 3 | 99.2 |
し尿 | |||
---|---|---|---|
原水 (mg/?) |
処理水 (mg/?) |
除去率 (%) |
|
BOD | 7,480 | 6 | 99.9 |
COD | 5,570 | 18 | 99.7 |
SS | 11,290 | 38 | 99.7 |
T-N | 1,810 | 12 | 99.3 |
T-P | 434 | 4 | 99.1 |
処理水質(公共)
処理水質測定例(通伏下水処理場)
測定箇所 | BOD | CODMn | SS | T-N | T-P | |
---|---|---|---|---|---|---|
流入水 | (mg/?) | 177 | 91 | 268 | 45.7 | 5.20 |
放流水 | (mg/?) | 7 | 10 | 5 | 9.8 | 1.01 |
除去率 | (%) | 95.9 | 88.8 | 98.2 | 78.6 | 80.6 |
測定箇所 | 流入水 (mg/?) |
放流水 (mg/?) |
除去率 (%) |
---|---|---|---|
BOD | 177 | 7 | 95.9 |
CODMn | 91 | 10 | 88.8 |
SS | 268 | 5 | 98.2 |
T-N | 45.7 | 9.8 | 78.6 |
T-P | 5.20 | 1.01 | 80.6 |
推奨するAT-BC装置
バチルス菌を高濃度に優占培養し,曝気槽への流入負荷を減らすための装置で,塩化ビリニデン系繊維をタワシ状に加工した接触体と腐食の原因となる金属部分を極力なくした回転装置で構成されます。 AT-BC装置を導入することにより,バチルス菌の能力を有効に発揮させ以下のような効果を実現できます。
○回転体表面からの生物層の剥離を防止
○回転速度が速く,高い接触効率が確保
○高濃度廃水も無希釈で対応可能


※バチルス菌優占化処理に関して株式会社 バチルテクノコーポレーションとの業務提携を行っています。